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NY市のゴミはどのように処理されているのか??


華麗なる?!NY通信★強制メルマガ★2008.7.23
ばっきー&イヤミーが、見た、着た、買った?&食った!!!     その73
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73:NYごみ処理事情  その2 
  NY市のごみはどのように処理されているのか??
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前回にひき続き、NY市のごみ処理事情です。

およそ800万人の排出するごみは、
どのように処分されているのか?
処分の役割における基本的な考え方は概ね日本(東京)と同じです。
しかし、その事業の姿は、似て非なるものと言えます。

1.処分主体の考え方

日本で言う一般廃棄物(家庭ごみ:一般家庭から排出されたゴミ)と
産業廃棄物(事業に伴って排出された廃棄物)という大きな分類は同じです。

NY市でも一般ごみは市が処分し、
商業ごみは民間企業が処分しています。
しかし、詳しくは後述しますが、
これはあくまで処分主体(費用を負担する人)という意味であって、
東京23区のように原則一般ごみは
焼却・最終処分まで施設含めすべて直轄でやると言う意味ではありません。

NY市では収集運搬は直轄ながら、
処分過程は民間の施設にお金を払って委託しています。
市民は無料ですから、つまりは税金です。
また感染性の廃棄物は、
専門の民間業者が処分しています。

さらに日本と違い、産業廃棄物に限らず、
一般廃棄物も州をまたいで広域で移動することが可能です。

その上で、NY市の一般ごみの処分の流れはどうなっているのか?
夜中に多く回収されている、ごみの流れを追いかけてみます。

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2.NY市のゴミはどのように処分されているのか?

実は私はNY市のゴミはずべてスタッテン島
(マンハッタンの南にある島、フェリーで20分くらい)にある
フレッシュキルという埋め立て処分場に埋めている・・と思っていました。

しかし、この一時期は全米最大規模にまでなったという埋め立て処分場は
2001年に閉鎖されていました。
ここも少しはなれたところから見ましたが、
現在は閉鎖処理中。

上からプラスチックシートをかけ、覆土する作業をしていました。
水処理はその後、30年間行うそうです。

ちなみに、1945年から埋め立てていたそうで、
当然ながら初期の頃のエリアは、
穴の底の部分には何の対策も無く、
水処理もしていなかったそうです。

かつては、NY市のほとんどのごみをココに埋めていたわけです。
しかし、閉鎖へ。
閉鎖後は美しい公園にするそうです。
住民は非常に喜んでいるとか。
(なにせ、周辺はかつてとは違い、住宅街になっていて、モールまであります。)

では今は、どうしているのか?
これは非常に興味深かったのですが、
なんとNY市では、今後、一切、
焼却炉と埋め立て処分場は持たない(つくらない)ということを
条例で決めてしまったそうです。

90年代には市内に3つの小さな焼却炉があったそうですが、
いずれも廃止。
それまでは、ほぼすべてを船で運び、
直接埋め立てていた、1万2千トン/日の一般ゴミ(家庭から排出されるゴミ)をどうするか?

結論から言うと費用を払って、
市外の処理業者に委託することにしたそうです。
さらに、それまで一括してやっていた処分を、
NY市の5つの区ごとに行うことにしました。
(5区(ボロー)は、マンハッタン、ブロンクス、クイーンズ、ブルックリン、スタッテン)

ただ、これは費用まで各区で、という独立性を重視する施策ではなく、
あくまでNY市の仕事ではあるが、
ある区に、このような施設の負担が集中的にかからないようにしたということです。

たとえば、以前はやはりブロンクスに積み替え保管施設などが集中していて、
(今も多いらしいですが・・)
そうするとどうしてもそこは環境・治安ともに悪くなってしまう・・

またスタッテン島は埋め立て処分の島みたいになり、
やはり環境・治安、価値いずれにおいてもよくない・・ということで、
5年程度かけて区ごとにやるように改善したといいます。

例をあげてゴミの流れを説明すると、

●ケース1:マンハッタン区
マンハッタンの一般家庭(アパートメント)
→NY市が回収
→マンハッタン内の積み替え保管施設に集積
→民間の処分業者に委託

※マンハッタンの場合、ニュージャージー州にある焼却施設(民間)か、
ロングアイランドの焼却施設(民間)で処分。いずれもトラックで輸送。
焼却費用は1トン当たり120ドル程度(運搬費用を除く)とのこと。

写真はニュージャージーの焼却施設。
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●ケース2:スタッテン島区
スタッテン島の一般家庭
→NY市が回収
→スタッテン島内の積み替え保管施設に集積
→民間の処分業者に委託

※スタッテン島の場合、
ここからの輸送は列車で行うが、
その積み込みと運搬も民間に委託し、
サウスキャロライナ州にある埋め立て処分施設(民間)で処分。
この2社の費用が、102ドル。
写真はごみが入ったコンテナ。
積み替え保管施設から最終処分場までレールでつながっている。
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無論、輸送費もかかるため、それぞれコストはかなりかかっています。
NY市5区で民間の5社を使っていて、
平均の処理委託費用は86ドル/トンだそうです。
(人件費や施設費などNY市の負担は入っていない)

一方、収集運搬は上記のとおり、
一般ゴミ(家庭ゴミ)については、
すべてNY市の直営。

車両もすべて市が所有しています。
街で見かけるパッカー車は、
白い車体にDSNYのロゴはいずれもNY市のもの。

それ以外のさまざまな色の収集車は商業ゴミのためのものです。
写真は民間のもの。
いずれにしても12トン車がメインです。
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また積替保管施設も市の直轄です。

収集運搬と積替保管を直轄で行い、
処分過程を民間委託しているわけで、
いわば日本とは逆のパターンです。
(23区はいずれも直営、自治体によってさまざまあるが、
概ね民間委託しているのは収集運搬のみ)

その話をした上で、
収集運搬こそが民間委託しやすいのではないか?
また、マンハッタンが島であることなどから、
いわば宿命的に必要な積替保管施設も民間委託できるのではないか?と聞いてみました。

しかし、回答は、それは出来ないだろうというもの。

「今の仕事はとてもうまくいっているから難しいだろう。
実際は、そういう話はたびたび出てくるが、
非常に政治的な話。

我々はとても強いユニオンを持っている。
たとえば、過去に、こういうことがあった。

以前は収集車に職員が3人乗っていた。
これが非効率だということで、市としては2人にしたい・・
しかしユニオンの抵抗が大きかった。

そこで、交渉し、3人を2人に減らす代りに、
1人につき40ドルの給与アップをすることで決着した。
市は節約になったし、組合も納得した。」

うーん、どこかで聞くような話ではないですか!
いやはや、いずこも同じと痛感しました。

かかる処分費用は上昇し続けているため、
見直しを迫られるであろうという状況に加え、
アメリカには日本以上に巨大資本の民間の廃棄物マネジメントの企業もあるため、
民間委託の検討は今後も頻繁に出てくるはずだと思います。

ただ、現実には、
現在マンハッタン内に存在する民間の(つまり商業ゴミの)積み替え保管施設も、
できれば閉鎖したいと市は考えていて、
新しい施設の許可は出していないそうです。

理由としては周辺環境の悪化があり、
(いわゆる大気等の意味の環境だけではなく、
そういう施設がある周辺は治安的な意味で環境が悪くなるという面らしいです。)
あくまで直轄推進の考えだといいます。

NY市には処分する場所が無い、というか
そういう施設を持たない・・ということで
市民とコンセンサスが取れているため、
そこだけは市外に費用をはらって委託する、
しかし本来はすべて直轄がベターで、
管理もし易い、という考え方ですね。

それにしても、土地が無い日本ではなかなか難しいながら、
総論賛成・各論反対を絵に描いたような政策です。

日本であれば都市のエゴと言われる典型的なパターン。

ゴミの処理施設が必要なのはよくわかっているが、
迷惑施設なので近くには持ちたくない・・高い費用を払ってでも、
いわゆる汚れ仕事は他でやってくれ・・・と。


ここは土地があるアメリカだからこそ可能なことと感心しました。

しかし、迷惑施設だから、自分たちの近くには持ちたくない・・という発想に対して
どう思うか?
特に、それはNY市民のエゴだと感じないか?
聞かずにはいられません。

「その指摘はよくわかるが、この決定も非常に政治的。
しかし、中西部には土地があって、この先20年とか埋め立てが可能な処分場もある。

それらの地域には、
ホストコミュニケーション費として1トンにつき2ドル程度ながら
上乗せ費用を払っている。
彼らはそのお金で、学校をつくったり、新しいパトカーを購入したりしている。」

という回答がかえってきました。

ふむふむ・・。
本当に、知っている人は知っていますが、
日本も全く同じですよね。
思わず原発のケースを思いうかべ、
かつて乗りかかったF県の最終処分場を思いました・・ため息。

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それにしても、次回、民間の焼却施設のことを書きますが、
よく考えれば、焼却施設や埋め立て施設といった、
もっともイニシャルコストがかかり、
さらにはランニングコストもばかにならない施設を自前で持つより
効率的なのは間違いない!と思います。

このごみの受け皿である、
私が訪ねた東海岸最大級の民間の焼却施設でも、
焼却施設のイニシャルコスト(スタートまでの長い期間も含め)の高さは
意外にも日本と変りません。
施設費は、特にとても高いです。(土地は日本よりかなり安いでしょうけど。)

彼らの言葉で最も印象的だったのが、
「こういう施設は、確実にごみが入ってくることが約束されていないと
建てられないし、ビジネスははじめられない」
というもの。

実際、彼らは近隣のコミュニテイ(日本で言うと地域、自治体)と契約してます。
同時に建設費用も補助してもらっています。

そうやって、できた施設に
処理費用を払って委託する・・というのは、
都市のエゴ的なる政策が許されるなら、
(ギブ&テイクが成り立つのなら)
ありだな・・と思った次第です。

おそらく東京も施設が余る日が、早晩来るでしょう。
官民あわせて、
トータルでの効率的な施設利用を考えておかなければならないと・・・
何回もいろんなとこに書いてますが・・また言いたい!
すいません。

さて、次回はいよいよ、久々に目がらんらんとした
焼却炉見学です。
いやはや・・・広報担当者は完璧。
まいりました!

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by nyiyamee | 2008-07-24 15:31 | NYごみ処理事情
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